意外と知らない?Panadolの主成分=Paracetamolについて
*この記事はYu&Mie Partnersの旧ブログにて2016年10月に執筆したものを加筆・修正して再掲載しております。
オーストラリアの国民薬、Panadol
オーストラリアで病院に行くと、痛み止めとしてすすめられる薬の名前が、Panadol(パナドール)。
風邪をひいて頭痛がする時や、けがをしたとき、歯医者での治療後などに、「痛かったらとりあえずPanadolを飲んで様子を見てね」と言われたことがない人は、まずいないはず。
このPanadolは、ロンドンに本拠を置く製薬会社、GSK/グラクソ スミスクラインの主力製品名です。
妊娠中・授乳期の女性や乳幼児も服用することのできる、いわば「オーストラリアの国民薬」。
処方箋がいらず、大型スーパーでも手軽に購入できるので、各家庭に必ず1箱はある常備薬として、広く信頼されています。
Contents >> Panadolの主成分 / 赤ちゃん、子供用のPanadol / 日本のお薬 / 日本とオーストラリアの服用量の違い / その他の関連薬
このPanadolの主成分とはいったい何なのでしょうか?
Panadolの商標がついた薬にはいくつか種類があるのですが、主成分はParacetamolと書いてあります。
さて、Paracetamolが実は、日本ではアセトアミノフェンとして知られている成分だということを、皆さんご存知でしたか?
私は今回調べるまで全く知りませんでした。
国際的にはこのParacetamolが一般的な呼称だそうで、日本では米国一般名Acetaminophenの方が取り入れられていた、ということになるようです。
Panadolのホームページによると、Paracetamolは
Paracetamol is an analgesic (painkiller) that also reduces fever, and is one of the most widely used non-prescription medicines.
パラセタモールは、発熱を抑える鎮痛剤であり、最も広く使用されている処方箋が不要の薬の1つです。
という説明になります。
また、
Paracetamol reduces pain and fever but has little effect in relieving inflammation. As a result, paracetamol is not associated with many of the side effects that may occur with anti-inflammatory medications.
パラセタモールは痛みや発熱を抑えますが、炎症を和らげる効果はほとんどありません。結果として、抗炎症薬で発生する可能性のある副作用の多くも起こりません。
とのこと。
つまり鎮痛剤としては、炎症に対する効き目はほとんどないものの、その分副作用が穏やかなため、乳幼児や妊婦でも服用できるというのも納得!ですね。
胃に優しく空腹時でも飲める(悪寒がする時はNGだそうですが)というのも、具合の悪い時には嬉しいところ。
赤ちゃん・子供用のPanadol
Paracetamolは赤ちゃんでも服用できるので、当然のことながら赤ちゃんや子供たちがご家庭でも飲みやすいように工夫された製品がたくさんあります。
色々種類があるので、ここでは王道のPanadol Childrenの物をご紹介します。
*Panadol Childrenはスーパーでは買えません。Pharmacyのカウンターでお買い求めください。
形状 | 対象年齢 | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|---|
シロップ(濃縮タイプ) | 生後1か月~1歳用 | Baby Drop | 注射器のような形状のスポイトでお口の中に差し込んで飲ませます。 |
シロップ | 生後1歳~12歳用 | Suspencion | 5歳まではBaby Dropと同じようなスポイト、5歳以上用は付属の計量カップで計って飲ませます。オレンジ味とイチゴ味の2種類。 |
シロップ | 5歳~12歳用 | Elixir | 付属の計量カップで計って飲ませます。プラスチックの容器に入ったラズベリー味のシロップ。 |
タブレット | 3歳から | Chewable Tablet | お口の中でぺろぺろとなめながら服用します。ラムネのようなイメージ。 |
浣腸 | 6か月から | Suppository | いわゆる”浣腸”タイプです。 |
可溶性 | 7歳から | Soluable | タブレットを水に溶かして飲みます。少しだけシュワっと発泡します。 |
日本でのParacetamol=アセトアミノフェンのお薬
さてご参考までに、日本でのアセトアミノフェンのお薬と言うと、アセトアミノフェン単体の市販薬では、武田薬品工業のタイレノールA。
処方箋の必要なお薬としてはカロナールが有名です。
また、腰痛用の薬として売り出されているラックル速溶錠という錠剤もアセトアミノフェン単体です。
日本とオーストラリアの服用量の違い
タイレノールAに含まれるアセトアミノフェン(Paracetamol)の含有量は、
300mg/1錠。1日に3回、1回1錠を服用が目安で、1日に最大5錠、1500mgまでが望ましいとされています。
対するオーストラリアの大人用のPanadol(錠剤)に含まれる量は500mg/1錠。
これを4〜6時間おきに1回1〜2錠の服用が目安で、最大で8錠、4000mgまでとされています。
1錠に含まれるアセトアミノフェンの量も、目安の服用量もオーストラリアの方がだいぶ多いようですね。
規定としては
通常、成人にはアセトアミノフェンとして、1回300〜500mg、1日900〜1,500mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
(KEGG MEDICUS 医薬品情報 医療用医薬品 : アセトアミノフェン)
*KEGG (Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes=京都大学化学研究所金久研究室提供のデータベース)による医薬品情報検索ページより。
となっているそうで、オーストラリアの目安服用量は規定の範囲内よりも、やはり多い?
この辺りは、一般的な体格の違いもあるかもしれませんし、服用量に対する考え方が国によって異なるのかもしれません。
気になる方は、GPやPharmacyで確認してみると良いでしょう。
その他の関連薬
日本ではParacetamol=アセトアミノフェン単一ではあまり効果がないとのことで、アスピリンとカフェインなどを加えたお薬があります。
エキセドリンエースや2014年に出荷終了したバファリンプラスなどがそれです。
オーストラリアでも、ParacetamolはPanadol以外にも多くの市販薬に使用されています。
面白いところでは、LEMSIPという風邪薬。
ParacetamolとPhenylephrine hydrochloride(フェニレフリン塩酸塩)が入っています。
フェニレフリン塩酸塩は日本では鼻炎に効く成分として市販薬に入っているようですね。
このLEMSIPはお湯に溶かしてゆっくりと飲むタイプで、レモンの味がついています。
温かい「はちみつレモン」のようなイメージで、風邪をひいているときに心もゆったりと落ち着きます。
ただし、こちらは1杯分にParacetamolがしっかり650㎎(写真のMAXタイプには1000㎎)入っていますので、ご注意を。
12才以下のお子様は服用できません。
ご参考までに、記事上部の画像の中に写っているNUROFENの主成分はイブプロフェンです。
「Panadolが体質に合わない場合はNUROFENでもいい」とGPで聞いたことがあり、同じような解熱鎮痛剤として持っていたものです。
こちらについてはまた別途、記事を書きたいと思います。
最後に
私は元々頭痛持ちなので、日本ではバファリンA(主成分はアスピリン)を常備していました。
こちらに来てからもしばらくバファリンに頼っていたのですが、妊娠、出産の際にドクターやミッドワイフからParacetamolを渡されていたので、「いつでも安心して飲める解熱•鎮痛剤なのだな」と認識し、以来ずっとParacetamolのお世話になっています。
Paracetmolとはそもそも何ぞや?との疑問が浮かばなかったのはなぜなのだか、今となってはそちらの方がナゾなのですが、それまで7〜8年、何の疑問も持たずParacetamolに頼り切ってきたわけです。
この記事を書くにあたり、パラセタモールという「日本では聞いたことがないけれどもいつでも飲める安心なお薬の成分」が実はアセトアミノフェンだったのだとわかり、すっきりとした気分になりました。
*記事内ではできるだけ信憑性が高いと思われる情報を引用、参考にしましたが、正確な情報につきましてはGPや医療機関に確認してください。